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今日は節分

  1. ひと言日記

今日は節分。

鬼は感染症という説もありますね。

節分の鬼に関する、ちょっと見方を変えたお話をご紹介します。

 

【鬼は内の節分】

 

あるところに心の優しいおじいさんが住んでいました。おじいさんは困っている人を放っておけず、食べ物や着るもの、家にあるものをすぐ人にあげてしまうので、働いても働いても貧しいままでした。 ある寒い夜、「鬼はー外!」「福はー内!」元気な掛け声が聞こえてきました。「今日は節分じゃったのう」おじいさんはよっこらしょと立ち上がると豆をまこうと扉を開けました。 すると「イタタタタ!」「助けてくれー!」鬼たちが逃げ惑う姿が目に入りました。「なんだか可哀想じゃのう…」雪が降る中、鬼たちが豆を投げつけられながら必死に逃げる姿を見ておじいさんは可哀想に思いました。 「可哀想だから、うちの鬼は追い出さないでおこう」と、「鬼はー内!福もー内!」と叫んで、家の中に向かって豆を投げました。すると「なんてありがたい…」シクシクと泣き声が聞こえきます。 辺りを見回すと、天井の隅っこに鬼が泣きながらうずくまっていました。「毎年毎年、どの家からも【鬼は外】と豆を投げられ追い出され…もうどこへも行くところがなかったのです。」そう言って鬼はまたメソメソと泣きました。 「そうかい、そうかい。それならずっとここにいたらいい。」おじいさんがニッコリ微笑むと、鬼はありがとうございますと喜んで、今度は嬉しくてエンエンと大きな声で泣きました。 次の日から鬼は、何か役に立ちたいと、畑の世話をしたり、海で漁をしたりおじいさんのためによく働きました。貧しかったおじいさんは鬼のおかげで少しずつお金が貯まるようになりました。 次の年の節分の日。「鬼はー内!」「福もー内!」おじいさんが家に向かって豆を投げると「ありがたや、ありがたや」どこからかまた声がします。辺りを見回してみると、押入れの中から去年とは別の鬼が出てきました。 次の日からその鬼も、最初の鬼と一緒によく働きました。おじいさんの暮らしはまた少し良くなりました。それから毎年毎年節分になると鬼が増え続けて…いつのまにやらおじいさんは沢山の鬼に囲まれて、お金持ちになっていました。 【鬼は悪い奴らだ】と決めつけていた村の人達は、おじいさんのところで働く鬼を見て、一人二人と節分に鬼を追い出さなくなっていきました。そうして村では鬼と人間が仲良く暮らすようになったのです。 お金持ちになったおじいさんは、節分で追い出された鬼たちの家を作ったり、困っている人に小判を分けてあげたりしました。村の人からも鬼からも愛されたおじいさんは、それからもずっと幸せに暮らしましたとさ。 おしまい